憧れの女性像
「狭き門」で小説の虜となってからは、主に恋愛もの・郷愁漂うものを探し読みあさってきた。
なかでも、ツルゲーネフの「片恋」の叶わぬ恋を読み、少女アーシャを当時同級生だった女子に重ね合わせ、永い間、自分の憧れの女性となってしまった。
ショートヘアの活発で明るく、でも内面に秘めた憂愁が瞳に宿る、そんな女性が自分の憧れの女性となり、それはイコール同級生の彼女。現実と想像がごちゃまぜで、14歳頃から永い間とりつかれていた。
しかしそんな夢が一瞬で覚める出来事があった。
40歳過ぎに行われた同窓会。
理想としていた面影はなく、当たり前のことだが、そこに居たのは中年のおばさん。
重ね合わせていた像が、あっけなく崩壊し、永い間の呪縛を解かれ、かえってすっきりした思いを感じた。
更に年月を重ねた今は、どんなふうになっているのやら。